まず結論
美容室を開業したとき、私は家賃約20万円の物件を選びました。
当時は「立地が良いから大丈夫」「売上を伸ばせば問題ない」と簡単に思っていたんです。
でも結果的に、その固定費は想像以上に重く、後々頭を抱える大きな問題の1つになっていきます。
今振り返ると、結果として家賃20万円そのものが問題だったのではなく、その物件を選んでいく過程での考え方や、固定費を甘く考えていたことが失敗の始まりだったのです。
なぜ家賃20万円の物件を選んだのか?
もの凄く簡単に言えば、都市開発が入ることが確定しているまだ発展前の駅前で、かつ立地が良さそうに見えたから。
この「見えたから」というのもミソなんですよね。
失敗するしかないだろうという理由ありありの、どういう風に考えてそう決めたのかをこれから書いていくので大いに笑ってくれたらちょっとは救われるかもしれません。
そしてマネしないように。笑
ここから先はどのようにして物件を選んでいったのか、何が抜けていたのか大事な部分なのでしっかり目に書いていきます。
運命だと感じた。よくよく考えればそんなはずないのに・・・
最初は市内ど真ん中だと集客は出来ても家賃が高すぎるだろうから少し外れた場所から探して回ってたんですけど、コネもツテもない若いただのいち雇われ美容師にいい物件なんて当たり前に見つかるはずもなく。
2~3ヶ月かけて探してた中で都市開発が入るという情報を聞きつけてその近辺を中心に探していると、駅前にぱっと見2階でわかりにくいけど道路に面している部分が前面ガラス張りの空き物件を見つけてしまう。
都市開発が入るという情報がすでに一般に出回っている駅前なんてもうすでに家賃が高騰してるのが当たり前なのにも気づかない。
その物件は大きくはないがマンションで、その1、2階部分がテナントになっていて1階の広さは2階の倍以上で家賃も当然倍以上。
従兄弟と共同経営でアシスタント1人の計3人で営業していく構想を練っていた自分たちには2階の広さが本当にベストに近くて。
そこから自分たちが思うままのマーケティング。
今思えば何の役にも立ってない。
市役所に住んでる人数とかの書類も確認に行ったけどマーケティングの何たるかもわからない素人に活かせるわけもなく。
物件の周辺を朝から夕方遅くの時間あたりまでどれだけ人通りがあるかをたった数日調べただけで多くの来店が見込めると勘違い。
そして、「ここしかない!」とただただ盛り上がった。
仲のいい従兄弟と共同経営というのも結果として悪い方の影響が出てたと思う。
1+1が4にも5にもなるような相乗効果なんてまったくない、ただ「自分たちならやれる!」という昔からのノリや勢いが半分以上あった。
自分の得意な客層の来店が見込めそうとか、そういう戦略になんて目を向けることもなく。
都市開発がこれからでどんどん発展していくだろう駅前に、ずっと探してた理想の広さに道路に面してる部分が足元まで全面ガラス張りなのも相まって運命だと思ってしまった。
探してた期間の間全然いい物件にあたらなかったものあったかもしれないけど、運命だと思い込んでしまったんですよね。
家賃20万円もするのにね。
集客や売上に対する楽観的な予測や期待。
裏打ちの何もない、まったく根拠のない自信。
勘違いの勢い。
本来ならしっかり考えないといけない部分を全部おざなりにして。
それが後々に響いてくるのをこの時はまだ知るよしもなかった。
開業前は安定的に払えると思っていた家賃20万円
先にあげた集客や売上に対する楽観的な予測や期待が本当に楽観的過ぎたのだと思い知らされるようになっていきました。
最初こそ売上も立ちうまく回っていたはずが、2年目税金の支払いあたりを境に資金に余裕がなくなると気持ちにも余裕がなくなり本当に一気に苦しくなっていく。
まず運転資金を予定よりあまり残せなかったことも問題だった。
家賃20万円。当然敷金もある。純新築なのもあって8ヶ月の160万円。
さらにスケルトン物件(床すらなく水道も電気も通ってないコンクリートのみの物件)
だったもんだから本当に1から内装にいたるまで何百万という工事費までかけてたなんて、今思えば言葉にならないほどあきれてしまう。
売上が立っていたとはいえ家賃20万円を筆頭に給料など固定費が大きいからプールすべきお金もほとんど貯められず。
税金の詳しい知識がなかった結果、運転資金が少ない上に税金の支払いや今後のためにプールしておくべきお金の管理もあいまいな中、変に売上があったもんだから一気にきた税金の支払いに頭も気持ちも追いつかずですべての余裕が吹き飛ぶとただただ焦りだけが出てきてしまったんだ。
このままじゃ立ちいかなくなるかも。
かも、なんて思ったも気休めで。
売上がいい月もあれば悪い月もある。
特に美容室は繁忙期として12月や3月があるけど、集客戦略でも失敗していた私たちの美容室はまだまだ絶対数が足りていなかったのもあって悪い月が続くと更に苦しくなっていく。
家賃20万円って固定費は本当に大きいというのを嫌というほど痛感して。
そして最終的にはいよいよ立ちいかなくなるんだよ。
家賃以外にも固定費はたくさんある
経営してく中で固定費は当たり前に家賃だけじゃないわけで。
- 家賃
- 人件費
- 光熱費
- 通信費
- 材料費
- 広告費
- 融資の返済金
など。
人を雇っていたから決めた給料は払わないといけないし、共同経営だから他に従兄弟と自分の最低限の生活費もいる。家の家賃もあるからなんだかんだこの部分は結構まとまった金額が必要になる。
美容室だと光熱費も馬鹿にならないし、材料なんて使えば使うほど増える支出で。
最初は紹介で伸ばしていくなんて言ってても、切羽詰まってくると集客しないことには始まらないから広告もうつようになってくると更に固定費は増えていく。
どんなに切り詰めても自分たちの生活費含めた人件費だけでも50万くらいは必要だったし、その他大雑把に20万とした時に、さらに家賃が20万だと毎月の固定費で90万は絶対必要な金額。
それでもなんとかやれてると思ってた。
完全に税金のことを失念していたんだけどね。
税金分もしっかり毎月の売上からプールしておかないといけなかったのにしていなかったんだ。
技術畑な仕事で経営に不慣れ、知識がなかったのもあったし、経理も後回しにしてたのが致命的。
頭ではわかっていても、目を逸らしてしまってた。
税金も固定費の一つとして考えないといけなかったのに。
余裕がなくなると固定費は一気に経営を苦しくする
税金を支払った後は本当にカツカツの中で営業していくことになっていくわけだけど、焦りがあるからなかなかうまくいかないことが増えていく。
すぐに結果の出るようなことばかりに目を奪われて実践してみても全部が全部うまくいくわけがない。
そしてうまくいかないと支払いが苦しくなる。
長期的な施策に取り組んだ方がいいと頭では分かっていても、来月の支払いが頭の思考回路を埋め尽くす。
完全に悪循環。
光熱費や材料費もなんとか節約していくら切り詰めたとしても、融資の返済金額や家賃は変わらない。
固定費が高いと毎月の売上の金額もおのずと高い。
美容室は繁忙期もあるが、そうでない売上の悪くなる月だってもちろんある。
従兄弟との考え方の違いや行動の違いから口論することも増えていく。
お金がないということで色んな判断を狂わせていくことを身をもって体感した。
その後売上ては支払っての自転車操業みたいなとまれば終わりの月日を過ごしていき、固定費の重要性を痛感していた。
今なら物件を決める前に確認すること
今もしあの時に戻るとしたら、そもそもがもっと低リスクでリターンのとれるビジネスモデルから始めると思うけど(笑)
下にあげるこの辺りをまず考える。
- 損益分岐点
- 6か月分の運転資金
- 家賃比率
- 最悪のケース
この中でも最悪のケースは一度しっかりシュミレーションしておくことがとにかく大事。
当時私は幸いにも長期入院するようなことはなかったが、身体に異変をきたして2,3日入院したことはあった。
丸々1ヶ月売上が立たないなんてこともゼロじゃない。
だからこそしっかりした運転資金の確保が必要になる。
6ヶ月分というのは最低そのくらいはみておけば形にはできる金額で、余裕があるのなら1、2年としっかり確保できれば言うことはない。
売上をどのように立てていくのか、集客やリピート率、単価すべてを楽観視しないでリアルに数字と向き合っていくべき。
もちろん感覚でいく方もいるだろうけど、そういう方ほど厳しいラインが肌感覚でわかっているかもしれないね。
このくらいの売上は最低でもクリアできるというラインがわかればそれに対して無理のない家賃比率を考えよう。
業種や業態によっても変化するので厳密にはいえないが、低ければ低いほどいい。
家賃の目安も決まればその他の細かな経費も含めて損益分岐点をあらかじめ出しておく。
もちろん後に払う税金分も含めてね。
そのラインが現実的なラインなのかをしっかり考えておくこと。
小さなオープンしたての顧客もついてない、最初の集客もしない美容室で最低の固定費が90万でさらに別で税金分の確保なんてうまくいくはずがなかったんだよ。
さらにそれでも売上上げれててなんとかやっていけてたのが余計に修正のタイミングを遅らせててタチが悪かったなあ。
私が本当に後悔していること
もちろん根拠もない中考えなしに家賃20万円に決めたり最初から従業員を雇って人件費をかけたりしたことも後悔は後悔だけど、
後悔している最大のポイントは、
「家賃20万円が悪かった」ではないということ。
売上が予定通りにいくとか、いろんなことを楽観視して上手くいく前提で考えていたこと。色んな考えが甘かったこと。
これに尽きる。
単に考えが甘い。
損益分岐点に対してとる戦略が間違い。
従業員もいて新しい土地で既存客もそこまで見込めない中固定費バカ高いのにゆっくり紹介で徐々に増やしていくなんて何考えてたのか?って問いたくなる。
あの損益ならありえないくらい新規の集客に最初からリソース全突込みで力を注いでいたらもう少し違う結果になっていたかもしれないけど、
結局考え方が甘いからどこかで違う問題が出てきて、きっとどこかのタイミングで同じように私は美容室を潰していたんだろうと思う。
まとめ
今でも「あの物件を選ばなければ」と思うことがある。
ただ、本当に問題だったのは家賃そのものじゃないんだよね。
売上予測を信じすぎて、最悪のケースを考えていなかったりする考えの甘さが一番の失敗の原因。
もちろん固定費は絶対的に少なければ少ないだけいいからしっかり削るように考えていくべき。
でもそれだけじゃない。
もし今読んでいるあなたが開業準備中なら、私は家賃の安も大事だけど「売上が落ちても生き残れるか」を先に考えて準備をしていってほしい。

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